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2012年を振り返って、そして2013年を迎えるにあたって

寒い日々が続いています。みなさんお変わりありませんか。

2012年を振り返ってみると、平成20年から弁護してきた事件について、11月にとても残念な判決を受けてしまったことが、今は一番印象に残る出来事でした。
事件発生が平成20年2月で、3月に起訴され、その後公判前整理手続に付されました。その後相当長期間の公判前整理手続を経て、ようやくそれが終了することなり、公判期日も予定されていました。ところが、検察官の突然の訴因変更によって、公判前整理手続が再度やり直しになり、ようやく公判が開始されたのが平成22年3月でした。3月からの集中審理で、平成22年6月までに証人尋問などが終わり、その結果、裁判所が弁護人請求の(再)鑑定を採用してくれることになりました。
ところが東日本大震災の影響もあり、鑑定書の提出までに約1年が経過しました。その鑑定人の証言(平成23年12月。これが最後の証人でした)を受けて、検察官が今年の年初に再度の訴因変更を行い(検察官が起訴状で呈示した死因は、どこかに消えてしまいました)、裁判所がそれを許可しました。ところが結果的にはその後の弁護人の反証の機会が十分に与えられず、判決では、検察官の求刑通りの刑(有罪判決です)が言い渡されてしまいました。

弁護人として、もっとも自分の力のなさを実感させられるのは、「無実の人を救うことができなかった」場面です。自分としては相当のできであったと思い込んでいた弁論が、実は裁判所の共感を全く得られなかったということに、自分の力のなさを突きつけられ、長い間へこんでいました。
しかしこの事件は、これから控訴審になります。いつまでもへこんでいることはできません。無実の人を救うために、もう一度ねじを巻き直して、頑張らなければなりません。

 

また、2012年の秋から、四国で公判期日を行っている事件については、事件の本当の実態を裁判所に正しく認識してもらうために、2013年も力を尽くさなくてはなりません。

 

日弁連から推薦されて、2012年10月に法務省から任命された、法制審議会の刑事法部会(自動車運転に係る死傷事犯関係)での特別委員としての審議も、大変重いものです。交通事故で愛するご家族を亡くされたご遺族の方々のお話を聞くにつけ、朝「行ってきます」と元気に家を出た我が子が、変わり果てた姿で目の前に横たわっている状態に接した親御さんのお気持ちを思うと、本当に何とかしなければならないと思います。ただその一方、こういう悲惨な事故をなくす方策が、新しく構成要件を作ること以外の方法でできないものなのか、とも考えさせられます。
この部会の審議も、新年からは具体的な条文の案を練る作業となってきます。日弁連推薦委員として、そして弁護士として、そして子を持つ親として、どのように審議に臨むべきか、悩みはつきません。

みなさん、よいお年を迎えられ、またよい年でありますよう。
充実した一年を送るために、私もまた頑張ります。

 

 

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