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ヒューマン法律事務所 青砥洋司ブログ

Atym Payment

依頼者から消費者被害の相談を受けたばあい、当然ですが相手方の「出会い系サイト」や「情報商材会社」に内容証明郵便を出します。それで、相手の会社から連絡があるのは1割くらいで、ほとんどの会社はこちらから連絡しなければなりません。

しかし、内容証明郵便が届けば良いですが、「特定商取引法に基づく表記」に記載のある住所に送っても、「宛所尋ね当たらず」「保管期間を経過しましたので返送します」などということで内容証明郵便が戻ってくることもあります。

そういうばあい、決済代行業者に問い合わせをしたりします。

決済代行業者についてはあまりご存じないかもしれませんので簡単に説明します。

まず、カード決済の登場人物として、カード会員、加盟店、さらに、カード会社として、カード会員側のカード会社をイシュアー、加盟店側のカード会社をアクワイアラーと言います。ところで、わたしが依頼を受けた消費者事件の中で、加盟店が加盟店側のカード会社(アクワイアラー)と直接契約しているところは1件もありませんでした。すべて、その間に、決済代行業者が入っていました。というわけで、決済代行業者とは、文字通り、加盟店とカード会社(アクワイアラー)との間の「決済」と「代行」する業者なのです。ただ、だからといって決済代行業者を使っている加盟店が全て怪しいと言うつもりはありません。普通の飲食店や小売店でも決済代行業者を使っているところはありますから。

話を戻して、決済代行業者と加盟店は直接の契約関係にあるので、加盟店と連絡がつかないばあいなどは、決済代行業者に問い合わせをしたりするのです。決済代行業者自体はそれなりの規模もありますので、通常、連絡がつかないということはありません。

ところが、「Atym Payment」という決済代行業者だけは、Googleで検索しても別の決済代行業者が上位に出てきますが(そことは関係なく)、全く連絡先など分かりませんでした。それで、いろいろ調べていくと「Atym Payment」は決済代行業者ではないことが分かりました。相手方の会社のサイトから決済手続に入ると、「Atym Payment」というサイトに飛ぶのですが、それは決済代行業者の決済画面をまねただけなのです。そこで、名義、カード番号、有効期限、セキュリティ番号などを打ち込むと、その情報が抜かれて、その後に相手方の会社がその情報に基づき決済手続をしているようなのです。

たまたま、「Atym Payment」のサイトを使っている業者と電話で話が出来たので、「Atym Payment」は決済代行かと聞いたら、決済代行だと答えました。じゃあ、電話番号と住所を教えてくれといったら、こちらでは把握していませんと言っていました。じゃあ、どうやって契約したんだということですよね。

MONETA

世の中には色々な消費者被害事件があるようです。

まあ、普通の消費者被害の場合、例えば、自動売買ツールを買えばパソコンが自動で売買してそれで儲かるといって、勝てる可能性があるだけという自動売買ツールを高額で売るとか、出会い系サイトで相談にのれば報酬を払うと言って高額の課金をさせるとか、一応、「ああ、そういうことで利益が発生するということで騙すのね。」というのが理解できるのです。

しかし、「MONETA」は、はじめは意味が分かりませんでした。

まず、無料で入会して、「MONETA」の開発した専用のS4システムにログインします。

そこには、すでに、300万円入金されていているのです。バイナリーのチャートみたいな画面で4色のシグナルボタンが表示されているので、いずれかのシグナルが点灯したときに掛け金を掛けて勝負し、勝つと残高が増える、という仕組みです。

わたしの依頼者は、そこで、300万円を2655万円まで増やしました。その画面の残高に表示されている金額を、サーバーと連結させて口座情報とリンクさせれば、そのお金が丸々手にはいるということらしいのです。

本当に、「MONETA」の説明通り入金されるのであれば、被害者は出ないでしょう。たとえ、入金されなかったとしても、そもそも、ここまでは無料なのですから、失ったとしても時間だけということになります。

ところが、ここで、サーバー構築費という名目で約10万円請求されます。サーバーを構築すれば2000万円以上のお金が手に入るのであれば、10万円くらいなら、ということで支払います。ところが、サーバー構築費を支払ってもサーバーエラーになり入金されません。

さらに、「MONETA」に連絡すると「プレミア会員になると対応を早くしてあげます。他のシステムも優先して使わせてあげます。」といわれるのです。そこで、プレミア会員になる費用約50万円を支払います。

ところが、というか、当然というか、サーバーは構築されず、口座への入金もありません。ついには、「MONETA」に連絡しても電話に出なくなります。結局、60万近いお金を取られてしまうのです。

というわけで、分かってしまえば、わかりやすい手口ともいえるでしょう。契約した義務が履行されないのですから。そして、履行された人はひとりも居ないのですから。

転ばぬ先の杖。皆さんもご用心ください。

那由多

「那由多(なゆた)」と聞いて、数字を思い浮かべる人は、仏教関係者か数学関係の研究者でしょう。合同会社の那由多を思い浮かべる人は、消費者被害に遭った人か、消費者被害に遭いかけた人ではないでしょうか。

本来、「那由多」とは、数字の単位のようです。10の60乗、あるいは、10の72乗と言われているようです。「億」が10の8乗であることを考えればとてつもない数字であることは間違いないでしょう。

今回、書きたいことは、情報商材会社の「合同会社 那由多」です。まあ、内容は「ファンズプラン」という仮想通貨・FXの自動売買ツールの販売をしているようなのです。

私の依頼者のばあい購入して200万近く損をしました。自動売買ツールを買うのに、「合同会社 那由多」に100万円近く支払っただけでなく、自動売買で100万円近く損をしたのです。

というわけで、「合同会社 那由多」に内容証明郵便を送って、消費者契約法に基づいて解除する旨を通知したのです。わたしは、内容証明郵便に、「あなたのスイッチONが毎日3万円に」「毎日3万円。1ヶ月で90万円に!」とサイトに書いてあるそのままのことを根拠に不実の告知(消費者契約法4条1項1号)断定的な判断の提供(消費者契約法4条1項2号)を理由に基づいて解除すると通知したのです。

当初は何度か、「合同会社 那由多」の社員(?)から電話があったのですが、こちらからかけても電話に出ません。しかたないので、こちらとしても法的手段に訴えようと考えるようになりました。

そんなときに、「合同会社 那由多」の代理人の弁護士からFAXで受任通知が届きました。そこには、「貴職が主張の根拠として挙げている文言は、いずれも宣伝全体の中から都合の良く意図的に抽出したものばかりであり、本件商材の宣伝内容を正確に表していません」「特定商取引法の標記を含め、すべての内容を一瞥すれば、通常の判断力を有する一般消費者であれば「宣伝内容のとおりに稼ぐことも可能である。」と受け取ることは明らかです。」と書かれていました。

「合同会社 那由多」のファンズプランを買われた方は、通常の判断力を有していない方か、可能性があると言っているだけなのに勝手に「必ず稼げる」と思い込んで購入したことになるそうです。10万から50万のプラン、合計で100万近いお金を支払って、可能性にかけたのでしょうか?一般消費者なら可能性があるに過ぎないと思うのが当然なら、被害は出ていないでしょうか。「合同会社 那由多」の代理人の主張にわたしは納得いきませんでした。

合同会社APS

出会い系サイトというと、下心のある中年男性が、女子高生やお金の欲しい主婦と出会いを作る場と思う方も多いのではないでしょうか。(すいません、わたしは、1年くらい前まではそう思っていました。)

まあ、そういう出会い系サイトもあるかもしれないのですが、実際は、お金をあげると言って課金させるものが多くあります。被害に遭われるのは男性だけでなく、女性も多いようです。

私の依頼者も、副業サイトを見ていて、悩み相談にのるだけで30万円支払いますというものを見つけます。早速、相談に乗ることになったのですが、なぜ、か、相談は「合同会社APS」の運営する出会い系サイトを使わなければなりませんでした。サイト内のメールで相手(実はサクラなのですが)の簡単な相談に乗り、いざ、報酬の支払いとなって、相手に自分の銀行口座を伝えたのです。しかし、相手からは個人情報が全部「****」なっていて、「個人情報は優良会員にならなければ交換できない」とサイトからのお知らせで書いてあると言ってきたのです。依頼者がサイトに問い合わせると、数万円払えば優良会員になれるということでした。そこで、ポイントを数万円分買って支払います。ところが、今度は個人情報の交換には別に費用が掛かるといわれるのです。また、数万円を支払います。ところが、それで終わりではありません。サイトが指定するパスワードを相互に入力してそれが一致しなければならないと言ってくるのです。それが、「【0809l】」の文字記号を入力しろと言うものなのですが、相手と一致しません。たとえば、①、【】を入力しないと、【】も記号なのに入力していないから間違っている、②、最後のlは「エル」なのに「アイ」を入力したので間違っている。③、それでも合わせてくる人に対しては「相手が間違えた」と言ってくるのです。相手はサクラですから言いたい放題です。当然、依頼者も間違っているといわれます。

パスワードを間違えると、今度はセキュリティを解除する費用、また、パスワードを交換する費用などといって、次から次へと費用を要求するのです。

途中で止めれば良いと思われるかもしれませんが、メールのやり取りをしている相手はサクラなので、「自分は間違えていないのに、間違えたのはあなただ」と責めたり、「いっしょに頑張りましょう」と仲間を装ったり、「あとで、費用は謝礼と一緒に払います」といって費用を負担させないように言ったりして、支払うように仕向けます。ちなみに、私の依頼者の相手は「尾関」と名乗っていましたが、他にも「尾関」と名乗るサクラに騙された人も多くおられるようです。

そして、最後に、M法律事務所から和解契約書が送られてきて、署名して返送すれば1万円返金すると言ってくるのです。これに署名させることで、残りの請求をさせないようにするのです。

ところで、この件でも、内容証明郵便を出しましたが、上記M法律事務所のN弁護士から、「合同会社APS」を説得しないといけないので、根拠資料を出してくださいといわれました。しかし、その前に、こちらから連絡した時点でサイト内のメールは見ることが出来ないようにしてからの連絡でした。

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